リオンについて

リオンの防水技術


2021.10.11

リオンの防水技術

リオンのこだわり技術:防水技術

補聴器の利用シーンを広げる防水技術
入浴やシャワーの場面でも、使い続けられる防水型補聴器。リオンの技術が、補聴器利用者の方の生活の質の向上に貢献しています。また、はっ水技術が湿気や汗から補聴器を守っています。

課題
音響性能、操作性、小型化を損なわない防水化
補聴器は、利用者にとって会話によるコミュニケーションを支えるかけがえのない手段です。しかし以前は、生活の中で補聴器が使えない場面が少なからずありました。入浴やシャワー、洗顔、激しいスポーツなど、水や汗に濡れる場合です。補聴器は小さな空間に数多くの部品が高密度に配置された精密電子機器のため、ごくわずかな水滴でも、毛細管現象で機器内部に広がり、電子回路の故障の原因になったのです。
1980年代、世界ではじめてこの問題の解決に挑んだのがリオンです。補聴器による会話コミュニケーションを途切らせないために、補聴器の防水化に全力を挙げたのです。補聴器の防水化にあたっては、以下のような課題を克服しなければなりませんでした。

1.音響性能を損なわずに、防水化すること
防水構造の基本は、一定の水圧に耐える密閉構造ですが、これによって、補聴器の性能が損なわれては意味がありません。密閉構造をとりながら、マイクで拾う音の大きさを下げないしくみが求められました。

2.操作性を損なわずに、防水化すること
防水化によって、スイッチやボリューム、電池交換などの操作性に影響がないことが前提でした。

3.小型化を損なわずに、防水化すること
小型化は、防水化とともに重要なテーマです。防水化によって、補聴器のサイズが大きくなることも避けなければなりませんでした。



防水補聴器の誕生
1986年、世界初の防水型補聴器を開発
1986年、リオンは入浴、シャワー、洗顔、水洗いなど、日常生活のさまざまな場面でも、安心して使用できる防水型補聴器の開発に世界ではじめて成功しました。例えば、水泳の授業でも、補聴器を付けたままプールに入れるようになり、難聴の方の活動の幅が飛躍的に広がりました。
これ以降、リオネットは、防水型補聴器の先駆けとして世界に広く知られるようになったのです。


1986年
技術1:防水音響膜の開発
防水型補聴器開発の第一の鍵は、音を通し、汗や水を通さない防水音響膜の開発でした。
優れた音響性能(音圧レベルの損失3dB以内)を損なうことなく、水深1mでの圧力に耐えられる防水化を実現するため、様々な材質と製法による試作検討を繰り返しました。
最終的に宇宙服にも使われた多孔質フィルムを採用するとともに、最大孔径10μm(100分の1mm)多孔質膜の製造技術を開発することによって、この厳しい条件をクリアすることができたのです。

画像:防水音響膜概念図

画像:開発した防水膜の音響性能特性

画像:防水型補聴器 HB-35PTの分解構造図

リオンのこだわり技術:防水技術
技術2:防水構造の開発
もう一つの鍵は、他の電子機器と違う補聴器ならではの防水構造の開発です。高いパッキン圧力が可能な金属構造の腕時計と違い、プラスチック構造の補聴器では、よりシンプルな設計で防水のためのパッキン圧力を低くする工夫が必要でした。また、音響性能の面では、幅広い周波数帯域への対応が求められました。これらを実現した製品構造は、その後の補聴器の基本構造の一つとして、現在も使われています。






1994年
技術3:空気電池への対応
その後、環境汚染の問題から水銀電池が廃止され、補聴器では空気電池の使用が一般的になります。しかし、防水型補聴器が空気電池に対応するためには、防水性を維持したまま、空気電池に十分な空気を供給する必要がありました。リオンは、1時間に5ml以上の空気が通過でき、かつ強靭な防水膜を開発することで、この課題も克服し、1994年に空気電池に対応した新しい防水型補聴器を発売しました。




2005年

技術4:オーダーメイド補聴器の防水化
耳かけ型の防水型補聴器に加えて、耳あな型のオーダーメイド補聴器の防水化も図りました。このタイプの補聴器の場合、マイクロホン側だけでなく、イヤホン側の防水化も大きな課題でした。イヤホン側には、マイクロホン側より、はるかに高い音圧が求められるため、この音圧が損失なく、また、音質に影響を与えることなく通過できるイヤホン側の防水膜の開発は、困難を極めました。最終的に、音を透過させる膜から、振動を伝達する膜へと、発想の転換をすることで、新たな防水膜を開発し、オーダーメイド補聴器の防水化を実現しました。
この補聴器はイヤホン側にも防水膜を搭載していることから「洗える補聴器」であることも大きな特長です。耳あかや汗を洗い流すことができるので、常に清潔な状態で使用することが可能になりました。






2013年
技術5:重度難聴用補聴器の防水化
これまで困難であった重度難聴用補聴器の防水化も実現しました。防水・防じん保護等級IP65/IP68※に適合し、高度・重度難聴にも適応可能なパワータイプでありながらコンパクトサイズを実現。さらに、多彩なデジタル機能を搭載しました。
※JIS C 0920:2003・IEC 60529 電気機械器具の外郭による保護等級