リオンについて
水の安心を数値で示す技術
リオンのこだわり技術:生物粒子計数器
水中の細菌をリアルタイム連続計測できる生物粒子計数器
飲料水から、食品・医薬品の製造や医療用水まで。水に混入した細菌を、リアルタイムに測る画期的な計数器が誕生しました。暮らしに欠かせない水の安全性を、確実な数値で支えます。
課題:様々なデメリットがあった従来の細菌検出方法
製薬業界や食品業界などでは、原材料や製造工程で使用する水の安全性を確保するために、細菌などの微生物が混入していないことを確認する作業が欠かせません。しかし、培養法をはじめとする従来の細菌検出方法では、結果が判明するまでに時間がかかるなど様々なデメリットがありました。これら産業界からは、より手軽に確実に、そしてリアルタイムに細菌を検出できる、新たな検査方法を求める声が高まっていたのです。
培養法の課題
培養法は、採取したサンプルを培地に撒いて培養し、細菌によって形成されるコロニーを計測する方法です。
検査期間が長い
培養結果が出るまで、3日~1週間程度かかります。万一、細菌が確認されても対応が間に合いません。
検出できない菌が多い
自然界の細菌の1%程度しか検出できません。
検査者によって結果が違う
検査者の習熟度によって結果が異なります。正確な結果を得るためには、専門機関に依頼する必要があります。
蛍光染色法の課題
蛍光染色法の課題
蛍光染色法は、薬剤で菌を蛍光染色し、蛍光顕微鏡によって数える方法です。
熟練が必要
染色処理や目視作業に熟練を要するため、現場で手軽に導入するのは難しい方法です。
検査者によって結果が違う
検査者の習熟度によって結果が異なります。正確な結果を得るためには、専門機関に依頼する必要があります。
その声に応えたのが、国内トップシェアの微粒子計測器メーカーのリオンです。
2012年12月に発表された、世界初のリオン生物粒子計数器は、水中の生物粒子と非生物粒子を瞬時に見分け、細菌などの生物粒子をリアルタイムかつ連続的に計測できます。
リアルタイムの細菌検出によって、タイムリーな対応が可能になり、水の安全性をより高められます。
また、検査に伴う前処理も不要で、検査者の習熟度にも左右されないため、導入、運用も手軽です。
生物粒子計数器のメリット
リアルタイムの連続検査が可能
生物粒子の数や大きさをリアルタイムに知ることができます。
連続測定も可能です。
正確な測定結果
日本薬局方の定める標準菌に関しては、ほぼ測定可能です。
前処理が不要
対象となる水を装置に通すだけで計測できます。
サンプルの採取や染色などの前処理は必要ありません。
自動測定が可能
検査および検査結果の記録を完全自動化することができます。
検査者の習熟度にも左右されません。
他工程との連携が可能
製造工程と連携させることで、
細菌検出時のプロセス実行を自動化することもできます。
原理:生物細胞中の自家蛍光物質を検出
生物粒子計数器は、2010年に研究が開始されました。きっかけとなったのは、生物体を計れる波長域のレーザーダイオードの誕生で、これを使って、生物粒子とその他の微粒子を判別できるのではないかと考えたのです。実用化の鍵となったのは、生物が持つ自家蛍光物質でした。
自家蛍光物質とは
細菌をはじめすべての生物の細胞は、代謝活性物質としてビタミンB2の一種である「リボフラビン」を持っています。リボフラビンは、所定の波長の光に対して蛍光を発することが知られていますが、リオンはこの自家蛍光現象に注目することで、生物粒子の存在をすばやく確実に検出する方法を開発しました。
技術
2つの受光素子で、微粒子を判定
生物粒子計数器は、紫色レーザと散乱光検出器(受光素子)、蛍光検出器(受光素子)から構成されます。
1. UVレーザから発する特定の波長の光を、液中の微粒子に照射します。
2. 微粒子からの散乱光を散乱光検出器で検知します。微粒子の有無や大きさが分かります。
3. 蛍光検出器がリボフラビンの蛍光を検知します。これにより、その微粒子が生物粒子か否かを即座に判定します。
性能
ほぼすべての細菌をリアルタイムに検出
測定できる生物粒子の大きさは0.2μm以上、細菌類のほぼ全域をカバーできます。あらゆる生物細胞が持っている自家蛍光現象をキャッチすることで、多くの種類の細菌を検出することができます。
技術の応用分野
浄水場
おいしく、安全な水作りを支えるリアルタイムの水質管理
気候変動や地球温暖化の影響によって、水源地の藻類などが異常繁殖する中で、日本各地の浄水場は、凝集障害や濾過閉塞などの、生物障害に直面しています。いま求められているのは、ピコ植物プランクトン等の増減によって処理プロセスの対応を行う、より高度な水質管理です。生物粒子計数器は、水道水の濁度や味、安全性に大きな影響を与える様々な微生物のリアルタイム計測によって、水質管理における一歩進んだ対応を可能にします。
タイムリーな水質管理が可能
計測結果がリアルタイムに得られるので、凝集剤や塩素の注入時期、量などを確実かつタイムリーに判断できます。
蛍光顕微鏡で判別できない微生物も検出
塩素注入によって蛍光が退色したピコ植物プランクトンなど、蛍光顕微鏡では目視で観察できないものでも、生物/非生物の判別が可能になります。
特別なスキルは不要
一度セットすれば、あとはリアルタイムの測定結果をコンピュータで確認するだけ。使用にあたって特別な技術は不要です。