リオンについて
デジタルの力でユーザーとつながる、関係を深める。 ②
2023.04.20
キックオフまでは苦難の道
最大の難所は社内理解の浸透
今でこそ「リオネットサークル」は、医療機器事業部の経営目標としてトップメッセージに掲げられているが、ここまでの道のりは、たやすいものではなかった。太田が最も苦労したというのは、社内理解の浸透である。太田は折に触れ、「リオネットサークル」とは何か、世の中から必要とされる補聴器メーカーであり続けるために、いかに重要な施策であるのかを繰り返し情熱を持って説明してきたが、理解を得られない場面も少なくなかった。そんな時、太田は小さくても確かな実績を積み重ねる方法で周囲に理解を得ようと尽力したという。
「社内におけるプロジェクトではメンバー自らが知らぬうちに壁を作ってしまうことも多く、外から見ると“彼らは何をやっているの?”という状態になりがちです。今回も当初はその穴に落ちかかっていました。そこで、とにかく小さい実績を出していくようにしたんです。例えば、コールセンターに寄せられる顧客からの情報の引継ぎシステムを変えてみました。それまではお客様の問い合わせにお答えして終わっていましたが、お客様が電話のあと実際に耳鼻科や販売店に行ったのか、行かなかったのか、その後の動向を追えるようにしました。すると“なるほど、こういうことがやりたいのか”と社員も変化を実感し、少しずつ動いていきます。それがまたメンバーの推進力にもつながっていきました。また、草の根活動をしながら経営層にもアピールしていきました。上下から同時にアプローチしながら、一つひとつ合意を重ねていったのです」
コロナ禍により、生活スタイルが急激にデジタル化したことも追い風となった。かくして動き出した「リオネットサークル」構想。医療情報を含む大規模な顧客データを扱うことになるため、サイバーセキュリティ対策も必要だ。莫大なコストに対応できるよう、より良い製品の開発も求められる。しかしながら、今後「リオネットサークル」が円滑に機能すれば、製品開発における種々のハードルは徐々に少なくなっていくだろう。WEBサイトやコールセンターを介して製品に対する顧客の声を当たり前のように集積し、開発部門にもシェアされていく。市場から何を求められているのかが、リアルに汲み取れるようになるからだ。
「ITツールは使わないとすぐに陳腐化してしまいます。お客様、医療従事者、販売店、すべての人が使い続けてくださることが何よりも大事。使い続けたくなるツールであるために、皆さんが求めるコンテンツ制作にエネルギーを注いでいきます」(太田)
リオネットサークル
RIONET CIRCLE 16 Active Action